ガソリンスタンドで給油をしていると、「カチャッ」という音が聞こえてくると思います。これは満タンになった時にオートストップ(自動停止)機能が働いて給油が一時的に止まった音です。また、セルフスタンドにて、ご自身で給油される方は経験があるかと思いますが、満タンになっていないのに「カチャッ」という音とともに給油が一旦止まってしまうこともあると思います。

「満タンになっていないのになぜ止まるの!?」と思った方もいるのではないでしょうか?

この場合もオートストップ機能が働いて給油を止めています。このオートストップ機能の仕組みを多少なりとも知っておくことによって、ご自身で給油する時の役にたつと思いますのでお伝えいたします!

そもそも、このオートストップ機能とは、私がアルバイトを始めた当初すごく不思議に思っており、なにか電気センサーのようなものが先端に付いていて、液面が触れると止まる仕組みなのかと思っていました。しかし、ガソリンが直接触れるところには、発火の恐れがある電気は一切使われてないのです。

実はこのような構造と仕組みだったのです。

オートストップ機能の構造と仕組み

ガソリンを入れるノズルの先端には検知口と呼ばれる小さな穴が開いています。

ノズルからガソリンが出る一方で、この小さな穴から空気が流れ込んでいます。

ガソリンが満タンになるとノズル先端がガソリンに浸かりこの穴を塞ます。

穴が塞がれることによって空気が流れなくなり、中心部にある機械的なセンサーが真空状態だと検知して給油を停止する仕組みになっています。

では、なぜ満タンになっていないのに停止してしまう場合があるのでしょうか?

それにはいくつか理由があります。タンク内の空気の抜けが悪い給油の勢いが良すぎる給油口から燃料タンクまでの形状、などが挙げられますが、基本的にどれもガソリンがしっかりとタンクまで流れていかず、空気の穴を塞いでしまい停止してしまうのです。

このような場合、入らないからといって給油レバーを更に強く握って給油するのは逆効果です。給油レバーを強く握る、すなわち給油流量を多くすると返って泡立ちが良くなり余計に入らなくなってしまいます。また、溢れてしまう危険性も高まります。イメージで言うと、空になったシャンプーボトルに水を勢いよく入れると泡だけが溢れ出してきて、実際に水はそんなに入っていない、といったものと似たようなイメージです。





(軽油はガソリンよりも泡立つので注意)

それなので、停止してしまった場合は一旦油面が落ち着くのを待ってレバーを全開に握るのではなく半分ぐらいでいいかもしれません。また、ノズルを挿し直すのも一つの手です。ただし、浅く挿さず、しっかり奥までノズルは挿しましょう。





逆にゆっくり入れすぎると真空にならずにオートストップ機能が効かなくなり溢れてしまいます。

このように給油ノズルは機械的な構造なので、100%完全に停止するとは言い切れない一面もあるので、給油中は目を離さないことが大事です。また、原則的にセルフスタンドでは継ぎ足し給油は禁止事項になっています。

ギリギリまで給油しない

ガソリンスタンド側の目線で言えば1リットルでも多く購入してもらった方がありがたいことですが、それ以上に安全に給油していただくこと(フルサービススタンドでは安全に給油すること)が危険物を取り扱う私たちの責務でもあるので、ガソリンの特性や安全を第一に考えるとギリギリまで給油することはおすすめしません。たまに車体を左右に揺らしながら給油をしている光景も見かけますが、燃料タンクは本来のタンク容量の概ね90%までしか燃料が入らないように設計されているので(10%は空気の層)あまり意味がなくボディの凹みや傷など原因となりうる行為ですし、わずかに入ったとしてもこぼれてしまう危険性とデメリットの方が多いので控えめぐらいがおすすめです。

ガソリン価格もなかなか下がらず安い時にたくさん入れておきたいというお気持ちは私も同じですが、こぼしてしまった分は無駄になり、揮発して大気汚染や引火の原因ともなってしまうので是非ともオートストップ機能のありがたみを感じながら継ぎ足し給油を我慢して流行りのSDGsに貢献しているぞという誇りを胸にお帰りいただければ幸いです!

※店頭にて実際の給油方法やその他お困りのことがありましたら、遠慮なくスタッフにお声かけください。