「いやー、ようやく入れられたよ!仕事で使うから困ってたんだよー」

携行缶にガソリンを給油したいけど、給油してくれるところがなく困っているお客様の声を近頃よく耳にします。

2019年の京都での放火事件をきっかけに、消防法が厳格化されて携行缶にガソリンを給油するという行為が厳しくなりました。

もともとセルフスタンドでは、お客様自らガソリン等の携行缶への給油は禁止されていました。それでも従業員が代行して給油するお店も少なからずありましたが、法令改正とともにこれまで代行給油していたお店や、有人のフルサービススタンドさえも自主規制して販売しなくなったお店が増えてきており、対応してもらえるお店が少なくなってきてるようです。

2020年2月1日より、ガソリンの容器への詰め替え販売を行う場合、本人確認(運転免許証等)使用目的の確認販売記録の作成が消防法で義務付けされました。

総務省消防庁ホームページ(ガソリンの容器詰替え販売における本人確認等について)

このように、携行缶への給油は販売する側も購入するお客様にとってもこれまでと比べ、ひと手間増えてしまうようになりました。その事から、運営会社によっては携行缶への給油サービスを廃止したという実態もあり、携行缶に給油できるお店が少なくなっているのです。

さらに、携行缶にガソリンを給油する際、容器や数量など細かく法令により定められています。インターネットなどで検索すると細かく、かつ、難しく記載されており、正直いまいちわかりづらいのではないかと思います。法令なので仕方ないのですが…それなので、要点だけを簡単にまとめてみました。

ガソリン携行缶販売の規制

  • 容器の制限
  • 販売数量の制限
  • 保管の制限

主な規制は上記に掲げた3つです。運搬する車両によっても数量が異なるのですが、ここでは運搬専用車両の説明は割愛させていただき、最も多い一般的な乗用車で運搬する場合についてお伝えします。

1.容器の制限

ガソリンの給油が認められている容器は、性能試験に合格した22リットル以下の密閉できる金属性容器です。なお、性能試験を合格した容器には必ず『試験確認済証』のシールが貼られています。このシールが貼られていない場合は給油できません。

また、性能試験に合格した10リットル以下のプラスチック容器であれば給油可能です。





灯油のポリ容器やペットボトルには給油できません

2.販売数量の制限

ガソリンスタンドで自動車以外へガソリンの給油を行う場合、1日の上限数量は200リットルまでと決まっています。その上限を超えての販売については消防法令により許可されていないのでできません。それなので、ガソリンスタンド側が携行缶への給油が多い日で上限に達してしまうと携行缶には販売ができなくなってしまうのです。





※上限200リットルとは危険物第四類第1石油類(ガソリン)の指定数量を指しています。管轄する市長村によっては規制緩和されこの限りではありませんが、川崎市は200リットルです。

3.保管の制限

ガソリンを保管する場合、40リットル以上200リットル未満の場合は、あらかじめ必要書類を添付して管轄する消防機関に届け出ることが必要です。200リットル以上の場合は管轄する消防機関の許可が必要です。(ガソリンスタンドは消防許可を得た給油取扱所です。)

それなので、届け出を行ってない場合は40リットル以上の保管は法令で認められていません。つまり、販売するガソリンスタンド側としても、届け出がされていない場合は40リットル以上の販売は行いません

よって、一般的に一度に携行缶に購入できるガソリンの上限数量は、39.9リットル。ただし、そのお店が携行缶への給油が200リットルを超えてしまった、あるいは200リットルに達してしまいそう、などの場合はこの限りではない ということになります。

複雑ですね…

購入する場合は、事前にお店に問い合わせをして確認をした方が間違いないと言えるでしょう。

最後に

ガソリンは危険物ともいわれるほど非常に危険なものです。

気温マイナス40℃においても気化し、着火源(小さな火花でも)があれば爆発的に燃焼する物質です。それなので、正しい取り扱い及び保管方法を徹底して注意事項等を遵守するようお願い申しあげます。

追記

当社では携行缶ではなく発電機やその他機械類等をお持ちいただき直接給油する場合は、容器への詰め替え販売に該当しないという観点から、購入履歴の記録作成の対象から除外しております。しかし、必要に応じて本人確認書類の提示等をお願いする場合もあるので、ご協力お願いいたします。また、発電機等の機械を車内に積載したままの給油は行っておりませんので、あらかじめご了承いただきますよう併せてお願いいたします。