整備士の学校に通っている時代に先生からクイズを出されたことがあります。

「車で一番大事な部品は何ですか?」

エンジン、ボディー、ハンドル、いろいろ考えたのですが、先生の答えはタイヤでした。「なぜですか?」と先生に聞いたところ、『だってタイヤがないと動かないだろ』という回答が返ってきました。

そうなんです、タイヤは車にとって最重要部品なのです。1本のタイヤが路面と接する部分は、わずかハガキ1枚分。そこが唯一の接地点なのです!1トン〜2トンほどの重さがある車を支えているのが、ハガキ1枚分×4だけだと思うと、いかにタイヤが重要だということがイメージできるのではないでしょうか?

ご自身の車に装着されているタイヤについて考える機会って、そう多くはないと思います。私たちは職業柄、車のタイヤは気になりますが、普段プライベートで使っている自転車のタイヤは比較的意識が低い気がします。気にし始めるのは運行に支障が出てきてからで、それまではあまり気にしません。ですが、車の場合、ハガキ1枚分の面積となれば運行に支障が出てからでは安全面において不安が生じる事だと思うので、一度ご自身のタイヤをじっくりと観察してみてはいかがでしょうか?

タイヤを見るポイント!

  • 何年前のタイヤだろう?(製造年)
  • 状態は?(空気圧・摩耗・亀裂)
  • どこのメーカー?特徴は?
1.タイヤの製造年の見方

タイヤの側面には色々な情報が記載されており、いつ製造されたタイヤなのか知ることができます。

製造番号

製造年を知ることにより、何年経過しているタイヤなのかを把握できます。一般的に国産メーカーであればタイヤ交換の推奨時期は使用開始から5年ほどと言われています。製造後10年経過しているタイヤは外傷がなくても交換が推奨されています。

ですが、メーカーの推奨時期は一概に全てのタイヤに当てはまるわけではなく、駐車環境や使用頻度などオーナー様のカーライフによって大きく変わってきます。日々タイヤ点検をしている者としての感度でお伝えすると、製造から3年経過しているタイヤはひびが出始める時期だと言えます。

ひび割れの主な原因

  • 空気圧不足などによる過度の屈伸
  • 紫外線や熱などによる劣化
  • 傷などによる局部への応力集中

そもそもタイヤにゴムが使用されている理由の一つに、空気や水を通しにくいという理由があります。そんなゴムがひび割れてくると、そこから水や空気が内部に入りこみ、タイヤ内部の部材に悪影響を及ぼしたり、強度も弱まってきてしまうのです。それなのでひび割れは要注意な状態と言えます。

こんな珍しいパターンもありました。

タイヤを新品にして1年ぐらいしか経っていないのにひび割れがひどい。
原因は駐車場の真横にエアコンの室外機があり、年がら年中エアコンの排気風にさらされている事から劣化を早めているケースがありました。

2.タイヤの状態

タイヤの状態で確認すべきはやはり、まずは空気圧です。空気圧が適正でないと様々な悪影響を及ぼします。

  • 燃費が悪くなる。
  • 偏摩耗しやすい。
  • タイヤ本来の性能が発揮できない。
  • 乗り心地が悪化する。

月に一度は空気圧点検をおすすめします。適正空気圧の数値は、運転席のドア付近に貼られているシールに明記されています。





※装着されているタイヤが純正装着タイヤと異なるサイズや規格の場合は確認が必要です。

次に確認しておくべきはタイヤの溝の状態です。一般的に新品タイヤの溝は7mm〜8mmとなっています。走行することによって路面との摩擦で溝が減っていきます。

タイヤの使用限度は1.6mmです。溝の深さが1.6mm以下のタイヤは法律上使用することができません。(車検も合格できません。)限界とされている溝の深さは1.6mmですが、4mm下回る辺りから性能が低下して制動距離(ブレーキかけてから停止するまでの距離)が長くなります。

それ以外にも溝が減っていると…

  • 雨の日の運転が危険に

タイヤの溝の大きな役割の一つが排水性能です。溝が無いタイヤで濡れた路面を走行するとタイヤと路面の間に水が入ってしまい非常に危険な状態に陥ってしまいます。(ハイドロプレーニング現象)

  • 乗り心地や静粛性が悪化する

摩耗が進むと、タイヤの接地面が薄くなり、路面からの衝撃を吸収しきれなくなります。また、ロードノイズが大きくなり運転ストレスに繋がります。

  • パンク等の危険が高まる

接地面が薄くなることで異物を踏みつけた時などに大きなトラブルにつながる可能性が高まります。

高速道路をよく使用する方や雨の日の運転が多いドライバーさんは特に安全と直結しますのでタイヤの残量は把握しといたほうがいいと言えます。

3.メーカー、ブランド、特徴

ただ単純にタイヤといってもどれも同じではなく、メーカーやブランド、トレッドパターンといってタイヤの溝の形状、ゴムの性質などで乗り心地やロードノイズ(走行中の音)、グリップ力などの走行性能や寿命も大きく異なってきます。また、燃費にも大きく影響してきます。各メーカーの公式サイトやカタログなどにタイヤの特徴が詳しく記載されているので、現在装着されているタイヤの側面を見てメーカーとブランド名を調べてみると良いでしょう。

とは言いつつも、なかなかご自身でタイヤを確認するのは容易なことではないかもしれません。「自分では不安」「よくわからない」などございましたら、当社スタッフがお客様の立会いのもと、ご一緒にタイヤを点検いたしますので、タイヤ交換が緊急で必要になる前に、交換時期や劣化具合をスタッフと共にご確認ください!

以上、タイヤは車と路面の唯一の接地面で、安全運転に欠かせない部品というお話でした、少しでも参考になれば幸いです!