近年、欧州車をはじめディーゼル車が増えてきており「AdBlue」(アドブルー)と給油口のそばやボンネット内などにある車両を目にします。

このアドブルーとは簡潔に言ってしまえば、排気ガスをクリーンにするための浄化システムで使用されている尿素水のことです。

もう少し詳しくアドブルーを知るには、ディーゼルエンジンの仕組みと歴史を知るとわかりやすいかもしれません。

ディーゼルエンジンの仕組みと歴史

ディーゼルエンジンとは、燃料をガソリンではなく軽油を使用したエンジンで、ガソリン車とは異なるエンジンの仕組みになっています。大きな違いとしては、ガソリン車では燃料であるガソリンと空気が混ざった混合気(ガス)をエンジン内で燃焼させるためにスパークプラグという着火源により火花を飛ばして燃焼させているのに対し、ディーゼルエンジンではスパークプラグがなく、エンジン内のピストンにより圧縮された空気へ軽油を霧状に噴射することで自然に着火させ、燃焼させています。

このディーゼルエンジンは昔から存在しており、エンジンの構造によりガソリン車に比べ燃料の消費量が少なくすむことから商用利用されるバスやトラックのような大型車両を初め多くの乗用車にも採用され、トルクフルな走りが好きなドライバーの方々に愛されてきたエンジン方式でした。しかしその一方で、ディーゼルエンジンでは排気ガス中に含まれる有害物質の「黒煙・NOx(窒素酸化物)PM(粒子状物質)」がガソリン車に比べ多いことが問題視されていました。そして、2009年には排出ガス規制(ポスト新長期規制)により、それまでのディーゼル車では規制をクリアする事が出来ず、一時的に姿を消していきました。

そこから、メーカーの努力により、「ポスト新規制」をクリアした「クリーンディーゼルエンジン」が誕生し、現在、欧州ではディーゼル車が40%以上と言われています。

クリアするための技術として、有害物質の発生自体を抑制するシステム、発生した有害物質を回収及び分解するシステムが搭載されるようになりました。

1.コモンレールシステム(燃料噴射をコントロール)

発生の抑制

燃料噴射をコントロールする高精度燃料噴射システムのことで、インクジェットプリンタの原理を用い、燃焼効率を上げることで燃焼時の有害物質低減を図り、発生自体を抑制するシステムです。

2.DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)

回収

排気経路に装備し、排気ガス中に含まれるPM(粒子状物質)をフィルターのように集塵するシステムです。定期的に自動で溜まったスス等を燃焼させてクリーニングしています。

3.尿素SCRシステム

分解

メーカーによって搭載の有無が異なりますが、排気経路に装備し、高温の排気管にアドブルーを吹き付けて気化させ、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を浄化するシステムです。NOx(窒素酸化物)をアンモニア(NH3)と化学反応させることで、窒素と水に分解しています。

3の尿素SCRシステムを採用車種に使用するのが、「AdBlue」(高品位尿素水)になります。

「普通のアンモニア水ではダメなの?」
アンモニア水は特有の強い刺激臭がある上、気化すると可燃性の気体になってしまい、安全上の理由から使用が出来ません。

「AdBlue」使用車の注意点

  • アドブルーは燃料と同じく消費し、無くなると補充するまでエンジンの再始動が出来なくなる。
  • およそ1000Kmで1L消費する。
  • アドブルーが身体や車体及び部品にかかってしまったら、すぐに大量の水で洗い流す。
  • 一度大気にさらされてしまうと、半年から4か月程度しか製品寿命がない。

    簡潔にですが、アドブルーについてまとめてみました。

    そして、ディーゼル車には必要不可欠とも言えるアドブルーですが、2022年1月より品薄状態が続き、入荷待ちの状態でしたが、ようやく少しずづ入荷できるようになっており、当社でも取り扱いが再開されました。しかし以前に比べ価格が高騰している実態があります。

    アドブルーのご購入をご希望の方は、お近くの店舗までお問い合わせの上ご来店くださいますよう、お願いいたします。