画像のように、タイヤの側面が膨れ上がってコブのような状態になっている症状についてお伝えしていきたいと思います。
この症状は「ピンチカット」と呼ばれている症状で、結論からお伝えすると、バースト(破裂)の1歩手前の状態と言っても過言ではありません。
そもそもタイヤはゴムだけで造られているわけではなく、下記の図のように様々な部材で構成されており、その中のタイヤの骨格部分に当たる、『カーカスコード』という部品の破損によって、このように膨れ上がった現象になってしまいます。
タイヤがその形状を保つことができているのは、図に記されているカーカス(コード)が、車にかかる荷重、外部からの衝撃、充填空気圧に耐える役割を担っているからなのです。
また、サイドウォール部と呼ばれるタイヤの側面は、たわむ事で乗り心地や走行性能を確保するため、構成されている部材はカーカスコードのみとなり、ゴムの厚みも薄く造られており、トレッド部と呼ばれる接地面に比べて強度がありません。
それなので、タイヤ側面に外部からの大きな衝撃等があった場合、カーカスコードが破損してしまう場合があるのです。そして、そんな骨格部分とも言えるカーカスコードが破損すると、薄いゴムだけではタイヤの中に入っている空気を保持できなくなり、風船のように膨れあがってしまうのです。これこそがコブのように膨れあがったピンチカットの原因です。
ピンチカット(カーカスコード破損)の主な要因は以下の通りです。
ピンチカットの主な要因は大きく分けて二つあり、一つ目は外部からの衝撃、二つ目はタイヤの変形過大です。
では、どのような時にこのような現象を起こしやすいかというと、
- 幅寄せ等でタイヤ側面をうっかりぶつけてしまった。【衝撃】
- 十分な減速をせず縁石などの大きな段差を乗り上げてしまった。【衝撃+変形過大】
- 空気圧不足【変形過大】
- 決められた積載量以上に重い物を載せて走っている。【変形過大】
上記に挙げたような事が主な要因になります。また、そもそものタイヤの経年劣化により、ゴムやカーカス自体が衝撃に耐えられなくなってきている場合もあります。タイヤの交換推奨時期は、どのタイヤメーカーも概ね4〜5年と言っている事がほとんです。
ピンチカットの危険性
ここまで、ピンチカットの原因についてお伝えしてきましたが、「タイヤの側面が膨れ上がっていても走行には差し支えないのでは?」と思う方もいるかもしれません。実際、コブのように膨れがったからと言って突然走行できなくなるわけではありません。しかし、タイヤ側面のカーカスコードが破損したタイヤは、ゴムだけでは荷重や衝撃に耐え切れなくなりタイヤ内部ではゴムが剥がれ落ちてきているのです。
ゴムが剥がれ落ち、薄いタイヤの側面がさらに薄くなっています。
このまま放置して走行すると、バースト(破裂)の原因に繋がり、走行不能や大事故を招いてしまう危険性が高まるので、ピンチカットを発見したらタイヤを交換することが望ましいです。
ピンチカットは走行中に体感するような症状は現れません。つまり、目視で確認する他、発見することがなかなか難しいかもしれません。それなので、外部からの衝撃時はもちろんのこと、運行前の目視点検は随時行うことをお勧めします。
また、万が一、出先などでピンチカットを発見した場合は、JAF等のロードサービスを利用して安全に移動されることが理想です。
もし自走される場合、いつバーストしてしまうかは、そのタイヤやカーカスの断裂の大きさやゴムの耐えられる度合にもより一概に断定できないので、タイヤに負荷が掛からないよう、ゆっくり走る、曲がる、止まるを意識しながら、お近くの整備工場やガソリンスタンドなどに向かわれることをお勧めします。
今回のピンチカットについて動画でも解説しているので、よかったらご視聴ください!